土地家屋調査士が取り扱う不動産登記は「表示に関する登記」です。
「表示に関する登記」は土地や建物の物理的状況を明確にするための登記で、一番最初にされる登記となります。
土地の場合では「所在」「地番」で土地の場所を特定し、どのように利用されているかを「地目」で表し、土地の面積を「地積」で表します。
建物の場合では「所在」「家屋番号」で建物の場所を特定し、どんな用途で使用されているかを「種類」で表します。建物の主な材質や屋根の種類・階層を「構造」で、各階の面積を「床面積」で表します。
表題登記がなされた後に、所有権・抵当権などの「権利に関する登記」がされます。(この「権利に関する登記」は司法書士が取り扱います。)

土地登記の種類

土地表題登記

  • 未登記の土地を買い受けたとき
  • 新たに土地が生じたとき

土地の表題登記は、登記簿の備わってない土地に地番をつける登記です。
登記されていない土地は存在します。国や公共団体が所有する国有地は登記義務がないため、登記されていない土地が多く存在します。国有地を払い下げて自分の土地にする時には土地表題登記をして登記簿を作る必要があります。
その他、ごく稀ですが、埋め立て等で人口地盤が作られる、海底隆起で新島ができる、など新たに土地が生まれた時に土地表題登記をします。

土地地目変更登記

  • 田や畑に家を建てるとき
  • 土地の利用目的を変更するとき

地目変更登記とは、土地の利用目的が変わったときにする登記のことです。
土地には、その現況と利用目的に応じた地目が決められており、23種類に分類されています。

■地目の種類■

田  畑  宅地  塩田  鉱泉地  池沼  山林  牧場  原野  墓地  境内地  運河用地  水道用地  用悪水路  ため池  堤  井溝  保安林  公衆用道路  公園  鉄道用地  学校用地  雑種地

主な例では、田・畑を宅地にして家を建てる場合があります。ただし、田・畑といった農地を農地以外の地目にする場合には併せて農地転用許可が必要です。

土地分筆登記

  • 土地の一部を売りたい
  • 相続が発生し、相続人で土地を分けたいとき

分筆登記は一つの土地を複数の土地に分割する登記です。
土地の個数は「筆」という単位で表します。外見上は1区画の土地でも数筆の土地からなっている場合もありますし、逆に数区画に分けらている土地でも一筆の土地のことがあります。
土地を分筆する場合には、境界確定測量を併せて行うことが多く、分筆点には新しく境界票を設置します。
その他、土地の一部が別の地目になった場合にも一部地目変更と分筆登記が必要になります。

土地合筆登記

  • 複数の土地を一つの土地にまとめたい。

合筆登記とは互いに接する複数の土地を一つの土地にまとめる登記のことです。ただし合筆登記には以下の条件があります。

  • 字や〇〇丁目が同じ
  • 地目が同じ
  • 所有者が同じ
  • 隣接した土地であること
  • 抵当権等の所有権以外の権利がないこと

土地地積更正登記

  • 測量した面積が登記されている面積と違うとき

地積更正登記は実測した面積と、登記簿に記載された面積が異なる場合に、登記簿の地積を正しい数値に修正する登記のことです。
土地の売買で、実測面積で売買する際は、実測面積と登記簿上の面積が一致している必要がありますので、地積更正登記をします。
また、土地を分筆する際に、地積更正登記を同時に行わなければならない場合があります。

建物登記の種類

建物表題登記

  • 建物を新築した
  • 未登記の建物を購入した

建物表題登記は建物を新築して一番最初にしなければならない登記です。
また、古い建物が未登記のまま存在することもあります。この場合も表題登記をする必要があります。
建物表題登記は、建物の「所在・種類・構造・床面積」などを記載した「表題部」を作成する登記です。

法務局や市役所等で資料を調査し、現地にて調査・測量を行います。詳しい調査を元に「建物図面」「各階平面図」等、必要な書類を作成し、登記を申請します。

建物表題登記が正確になされないと、銀行から融資を受ける際に担保設定の評価に影響するかもしれません。また、実際の建物と登記簿上の表示が違っていれば銀行から「表題部変更登記(現状と登記簿を一致させる登記)」を求められることにもなりかねません。

建物表題登記は、不動産の状態を正確に反映させる必要がありますので、専門家である土地家屋調査士にご依頼ください。

建物表題変更登記

  • 家を増築・改築したとき
  • 主建物に付属建物(離れや車庫)を作ったとき

建物表題変更登記とは、登記簿に記載されている登記事項に変更があったときに、現況と合致させるために行う登記のことです。

建物の登記簿には「種類・構造・床面積」などが記載されていますので、増築して床面積が変わったり、住宅の一部を改築して店舗にしたり、
屋根の種類が変わるような工事をした場合には表題部の変更登記が必要になります。

建物滅失登記

  • 建物を取り壊したとき
  • 建物が無いのに登記簿に建物が残っているとき

建物滅失登記は建物を取り壊したり、天災で全損したときにする登記で、建物の登記簿を閉鎖します。
建物滅失登記をすると役所の固定資産税課に通知されますので、誤って固定資産税を徴収されることがなくなります。建物の固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課せられます。建物を取り壊したら速やかに滅失登記の申請をすることをお勧めします。